ゼロクリックマーケティングとは?AI検索時代のSEO対策と成果を測るKPI

Zero-Click Marketing: What the 2026 Data Means

ゼロクリックマーケティングとは、Webサイトへのクリックが発生しない検索結果やAI回答でも、ブランドの認知・信頼・将来の購入意向を高める取り組みです。検索順位や流入数に加えて、AI回答内の言及・引用、競合に対する露出、指名検索の変化を評価します。

Similarwebのデータを使ったSparkToroの調査では、2026年1〜4月の米国Google検索の68.01%が、クリックなしで終了しました。これは日本のゼロクリック率を示す数値ではありませんが、検索結果で答えを得る行動がSEOの評価に与える影響を考える材料になります。SparkToroの調査結果と調査方法

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本記事では、ゼロクリック検索との違い、対策が必要なキーワードの見分け方、成果を測るKPI、コンテンツ改善の方法を解説します。

ゼロクリックマーケティングとは

ゼロクリックマーケティングは、サイト訪問だけを成果とせず、検索結果やAI回答の中でユーザーに価値を届ける戦略です。本記事では、主にGoogle検索と生成AI検索を対象に扱います。

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たとえば、ユーザーが業務ツールを比較した際、AI回答に自社ブランドが候補として表示されれば、その場でリンクをクリックしなくても検討に加わる可能性があります。後日、ブランド名を検索して資料請求することも考えられます。

このような接点は、通常のアクセス解析だけでは捉えきれません。クリック以前のブランド露出と、後から生じる指名検索・問い合わせを組み合わせて評価する必要があります。

AIが情報収集から比較検討までのどの場面に関わるかを整理するには、AIによる消費者の購買プロセスの変化も参考になります。

ゼロクリック検索・ゼロクリックSEOとの違い

用語意味主に確認すること
ゼロクリック検索検索後にリンクをクリックせず終了する行動どのキーワードでクリックが発生しにくいか
ゼロクリックSEO強調スニペットやAI Overviews(AIによる概要)などでの露出を高める施策検索結果でどのように表示されるか
ゼロクリックマーケティングクリックを伴わない接点も含めて、認知・比較検討・需要を育てる戦略露出がブランド選択や事業成果にどう関係するか

ゼロクリック検索はユーザー行動、ゼロクリックSEOは対策、ゼロクリックマーケティングは対策の優先順位と評価方法まで含む考え方です。

ゼロクリック検索がSEOに与える影響

検索結果には、強調スニペット、ナレッジパネル、地図、天気、単位変換、AI Overviewsなど、リンク先へ移動せずに情報を得られる機能があります。そのため、検索順位が維持されていても、以前と同じ流入数を獲得できるとは限りません。

Pew Research Centerが2025年3月の米国ユーザーの検索行動を分析した調査では、通常の検索結果へのクリックは、AI Overviewsが表示された検索で8%、表示されなかった検索で15%でした。調査対象と期間が限定されるものの、AI回答の有無によってクリック行動が異なることが分かります。Pew Research Centerの調査

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ただし、ゼロクリックをすべて「検索結果で満足した」と解釈するのは適切ではありません。再検索や中断も含まれるため、指標の定義を確認して分析しましょう。

過去のゼロクリック率を比較するときの注意点

SparkToroの調査では、2016年の約45%から2026年の68.01%までの変化も紹介されています。ただし、過去のデータはJumpshot、Datos、Similarwebなど異なるパネルによるもので、同一条件の時系列ではありません。

年ごとの小さな差や増減を厳密に比較するより、検索結果内で情報を得る行動が広がってきた背景を把握するために使うのが適切です。

AIの利用増加が、そのままサイト流入増加になるわけではない

生成AIの利用者や質問数が増えても、AIからWebサイトへの送客が同じ割合で増えるとは限りません。回答だけで目的を達成できるためです。

この変化に対応するには、AIからの流入とAI回答内のブランド露出を分けて測定します。サイトに来なかったユーザーへ自社がどのように紹介されたかも、検索施策の評価対象になります。

日本のBtoB・SaaS企業が確認すべきこと

デスクトップ中心に情報収集する顧客が多い場合は、そのデバイスでの検索行動を重点的に確認します。ただし、海外の傾向から「BtoBの購入検討はすべてPCで行われる」「日本でも約8割がゼロクリック」とは言えません。

日本企業が優先すべきなのは、自社顧客の実態を確認することです。サービス比較、料金確認、セキュリティ評価、社内稟議のための情報収集など、検討段階ごとに検索語とデバイスを分けて分析しましょう。

特に、次のような質問でAI回答を確認すると、比較候補への入り方を把握できます。以下は日本語での調査を設計するための例であり、検索ボリュームや実測のゼロクリック率を示すものではありません。

  • 「○○とは」「○○の導入メリット」
  • 「○○ツール 比較」「○○ 中小企業向け」
  • 「○○ 料金」「○○ 導入事例」
  • 「○○と△△の違い」

自社名が登場するかだけでなく、どの競合と比較され、どのような特徴や注意点が説明されているかを確認します。

ゼロクリック時代に測るべき5つのKPI

自然検索流入やコンバージョンは引き続き必要です。そのうえで、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を使ったAI回答など、クリック前の接点を測る指標を追加します。

KPI分かること確認のポイント
AI回答でのブランドメンション率関連質問への回答に自社が含まれる割合LLM、トピック、プロンプトごとに比較する
自社コンテンツの引用頻度自社サイトが回答の情報源として使われる状況ブランドメンションと自社ドメインの引用を分ける
AI回答でのシェア・オブ・ボイス競合に対して自社が占める言及の割合同じ質問群・期間・モデルで比較する
検索結果機能での表示状況AI Overviewsや強調スニペットなどへの露出対象キーワードと表示形式を記録する
指名検索の変化ブランド名を直接探す需要の増減広告、広報、季節性など、ほかの要因も確認する

ブランドメンションと引用を区別する

ブランドメンションとは、回答内でブランド名が言及されることです。AIが自社ブランドを紹介していても、自社サイトを引用しているとは限りません。反対に、自社サイトが情報源として使われても、回答にブランド名が出ない場合があります。

前者はブランド認知、後者は情報源としての存在感を示します。目的が異なるため、一つの指標へまとめずに追跡しましょう。

引用元のURLを調べ、競合との差を改善施策へつなげる具体的な方法は、AIの引用分析によるゼロクリック検索対策で解説しています。

指名検索は間接的な成果指標として使う

コンテンツ公開やAI回答内の露出が増えた後に、指名検索が伸びる場合があります。ただし、時期が一致しただけで因果関係を断定することはできません。

月次で指名検索、AI可視性、広告・広報施策、問い合わせ数を並べ、継続的な変化を確認します。アクセス解析やCRMのデータと組み合わせることで、事業成果との関係を検討しやすくなります。

AI流入は量と質の両方を見る

AIからの流入が少なくても、比較検討を済ませたユーザーが訪問している可能性があります。流入数だけでなく、資料請求、無料トライアル、購入、商談化など、自社のコンバージョンを確認しましょう。

AI流入が常にほかのチャネルより高品質とは限りません。対象市場や業種が異なる外部調査を、そのまま自社のCV率目標に使わないことも大切です。

対策キーワードをゼロクリック率で分類する方法

ゼロクリック率は、検索ボリュームや順位だけでは分からない「クリックの余地」を判断する材料です。ただし、率の高さだけで検索意図や事業価値が決まるわけではありません。

Similarwebが示す整理方法では、キーワードを次の4段階に分類します。各範囲は施策を整理するための目安であり、すべての市場に共通する基準ではありません。

ゼロクリック率の目安施策の重点主な改善内容主な評価指標
0%以上30%未満クリック獲得タイトル、説明文、順位、ランディングページCTR、流入、CV
30%以上50%未満クリックと露出の両立回答の分かりやすさと、訪問する価値の両方流入、表示、言及・引用
50%以上70%未満回答内での露出を重視明確な定義、比較表、出典付きの情報言及・引用、競合比
70%以上100%以下回答内のブランド接点を重視要点が独立した解説、一次情報、用途別の回答言及・引用、指名検索の変化

ゼロクリック率が高くても、残るクリックから高い利益が得られる場合があります。一律に流入獲得を諦めるのではなく、検索意図、クリック可能な規模、CV価値を合わせて判断します。

5つの手順でキーワードを整理する

  1. 対象キーワードを集める:順位計測や既存記事の対象語に加え、比較・導入・料金など事業に近い語を一覧化します。
  2. ゼロクリック率を確認する:Similarwebのキーワード調査ツールで、対象市場・期間をそろえて調べます。
  3. 検索結果を確認する:AI Overviews、強調スニペット、広告、地図など、実際に表示される要素を記録します。
  4. 施策とKPIを割り当てる:クリック獲得を重視する語と、言及・引用も重視する語を分けます。
  5. 変化を追跡する:順位と流入だけでなく、AI回答内の自社・競合の露出も継続測定します。

日本語キーワードへ置き換えて分析する

「weather」「grams to pounds」など、検索結果だけで答えが完結しやすい英語キーワードの実測値を、そのまま「天気」「グラム ポンド 換算」のゼロクリック率として扱うことはできません。

日本向けの施策では、日本語キーワードと日本市場のデータを確認します。たとえば「○○とは」の定義検索と、「○○ 料金 比較」の検討検索では、必要なコンテンツも成果の測り方も異なります。

AI回答で引用されやすいコンテンツを作る4つのポイント

ゼロクリック対策では、人が読みやすく、AIにも情報の単位と根拠が伝わる構成を意識します。特定の書き方だけで引用を保証できるわけではありませんが、情報の明確さを高めることは、読者にとっても有益です。

1. 見出しごとに一つの疑問へ答える

各セクションは、前後を読まなくても要点が分かる形にします。「前述のとおり」だけで説明を省略せず、主語、対象、条件を明記しましょう。

たとえば「料金」の見出しでは、対象プラン、課金単位、含まれる機能、追加費用をまとめます。情報が複数ページへ分散している場合も、どこに正式な条件があるかを分かりやすくします。

2. 定義と結論を先に書く

「○○とは、〜です」と用語を直接定義し、見出し直下で答えを示します。その後に理由、具体例、注意点を加えると、読者もAIも情報の関係を把握しやすくなります。

3. 数値には出典・時点・対象範囲を付ける

統計を掲載する際は、出典、調査期間、国・地域、対象デバイスなどを明示します。独自調査、実際の利用データ、専門家の見解も、方法や根拠が確認できる形で示しましょう。

他社の数字を並べるだけでなく、自社が提供できる一次情報を増やすことが重要です。古い料金や仕様を残さず、更新日と対象条件も管理します。

4. 比較・判断・実行に必要な情報を充実させる

定義だけで終わる記事と、読者が具体的な行動を進められるページを組み合わせます。比較表、導入手順、料金、利用条件、事例、独自の調査結果などが該当します。

ゼロクリックで認知を獲得した後、サイトへ訪れたユーザーが比較や申し込みを完了できるように、関連ページとCTAも整備しましょう。

AIエージェントによる検索にも備える

ゼロクリック検索は、人が検索してもクリックしない行動です。一方、AIエージェントは、人から依頼された調査・比較などを複数の情報源で進めます。人のページ閲覧だけを前提にした計測では、この接点を把握しにくい場合があります。

Similarwebが紹介するCAREの考え方では、次の4点を確認します。

観点確認する内容
クロール可能性(Crawlability)必要なページへクローラーがアクセスできるか
情報へのアクセスしやすさ(Accessibility)構造が明確で、機械が情報を取り出せるか
読み取りやすさ(Readability)料金、仕様、条件などを独立した事実として理解できるか
操作の実行可能性(Executability)比較、予約、登録などの対象行動を進められるか

ただし、AIが操作しやすいことと、安全性や本人確認を省略することは別です。価格・在庫・利用条件を正確に示し、必要な承認やセキュリティを維持したうえで、情報取得や手続きを設計します。

サーバーログでAIボットのアクセスを確認する場合も、クローリングを人の訪問、購入意向、コンバージョンと同一視しないようにしましょう。

Similarwebでゼロクリック率とAI可視性を確認する

ゼロクリックマーケティングは、キーワードごとのクリック機会と、AI回答内のブランド露出を組み合わせて分析します。

キーワード調査でクリックの余地を整理した後は、SimilarwebのAIブランド可視性で、AI回答内のブランドメンションや競合との差を確認できます。検索語の分析と回答内容の分析を組み合わせ、自社が比較候補から外れている質問を見つけましょう。

まずは主要キーワードを分類し、クリック獲得を重視する領域と、回答内での露出も重視する領域を整理しましょう。既存のSEO指標にAI可視性を加えることで、流入だけでは見えなかった改善機会を把握できます。

よくある質問

ゼロクリックマーケティングとは何ですか?

サイトへのクリックが発生しない検索結果やAI回答でも、ブランド認知や将来の需要を育てる取り組みです。言及・引用、競合に対する露出、指名検索の変化などを測定します。

ゼロクリック検索が増えたら、SEOは不要ですか?

不要にはなりません。クリックが発生する検索では従来のSEOが重要です。また、検索結果やAI回答に使われる情報を整備するためにも、クロール可能で信頼できるコンテンツが必要です。

ゼロクリック率が高いキーワードは狙わない方がよいですか?

一律には判断できません。認知・比較検討への影響、残るクリックの規模、CV価値を確認します。流入だけでなく、ブランドメンションや引用も評価対象にします。

ゼロクリックの成果はGoogle Analyticsだけで測れますか?

Google Analyticsでは、サイトを訪れていないユーザーがどのAI回答を見たかまでは把握できません。AI可視性ツール、検索データ、問い合わせ・商談データなどを組み合わせる必要があります。

米国の68.01%という数値は日本にも当てはまりますか?

そのまま適用できません。国・言語・デバイス・検索語によって行動や表示される検索機能が異なります。日本向け施策では、日本市場の対象キーワードを分析してください。

ゼロクリック対策で最初に行うべきことは何ですか?

主要キーワードをゼロクリック率と検索意図で分類し、対応するAI回答・検索結果で自社と競合がどう表示されているかを確認することです。その結果に応じて、流入獲得とブランド露出のKPIを設定します。

Limor Barenholtz

Director of SEO & AI Search at Similarweb

Limorは20年にわたる経験により、SEOに関する専門知識を持ちます。テクニカルSEO、JavaScriptレンダリング、モバイル最適化に注力しています。複雑な問題を解決し、スケーラブルな戦略を作成することが得意です。

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